はじめての C# プログラミング 〜 第1回 開発環境をインストールしよう
初めてプログラミングをしようと思うと、何から勉強したらいいのか、よくわからないと思います。ここでは、まったく初めてプログラミングを行う人のために、開発環境の構築から、プログラム言語の基礎、簡単なプログラムの作成方法を説明していきます。対象としては、中学生〜高校生程度の学力の方を想定して、コンピューター関連の専門知識がなくても、簡単に理解できるように説明していきたいと思います。
なぜプログラミング?
1から10まで、整数を足すと55になります。このぐらいでしたら、暗算でできるでしょう。では、1から10000まで足してくださいと言われたら?
頭のいい人なら、(1+10000)*5000と答えられると思います。しかし、もう少し計算が複雑になって、計算量が多いと、お手上げですね。そんな時、計算の手順を書いて、あとはコンピュータに実行させれば、面倒な計算はコンピュータが実行してくれます。
最近、CGの映画をよく見ますが、実写と見間違うくらいよくできていますよね。あのCGも非常に高度な数学計算を大画面に対して、実行しています。
今、あなたが読んでいるこのWEBページも、HTMLという言語で書かれたデータを計算機が処理して、読みやすい形で表示してくれています。これもプログラミングの実行結果です。
プログラミングの基礎を覚えておくと、プログラマーとして働くためだけでなく、たとえば WEB ページでの
Java Script 作成で、ちょっと凝ったホームページを作ったり、EXCEL
の表計算で、毎回面倒な表の体裁を整えたりする処理をボタン一発で行ったりすることができ、便利です。
プログラミングは、基本的に誰でも論理的な考え方ができる人なら、行うことができます。また、簡単なプログラムであれば、すぐ作れるようになります。しかし、一方で奥が深く、進歩も非常に早く、プログラマーとして食べていくのは大変なことです。ここでは、まったく初めての人でも、プログラミングって何かを楽しく学べて、興味を持ってもらうことを目標にしています
言語は何を選べばいいの?
世の中には非常に多くのプログラミング言語があります。
自分が学んだだけでも、アセンブラ(機械語)、フォートラン、C、C++、Occam、Lisp、Prolog、C# と8つあります。現在人気があるものは、Microsoft
系だと、VB.NET、C#ですね。Unix系だと、C++、Perl、csh、Java
など。用途や、OS、メーカーによって異なっています。
こんないっぱいある中で、何を勉強すればいいのか迷うと思いますが、はっきり言って、答えはどれでもよいです。プログラミングの構造は似ていて、宣言、制御構造、手続きといった基本的な構造は似ています。このため、1つの言語をある程度理解しておけば、ほかの言語も覚えやすいです。たとえば、英語、フランス語、ドイツ語などヨーロッパ言語の基本的な文の組立ては同じなのと似ています。ただし、英語と日本語はかなり違いますよね。同じようにプログラミング言語も、どこの流れなのかによって、だいぶ違ってきます。C#
は、C, C++ の流れをくんでいます。Java も C, C++, C# にかなり近いです。
どの言語を勉強するかは、悩むところだと思います。どの言語を選択するかの選択基準としては、次の3つがあると思います。
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人気のある言語
人気のある言語は、周りに知っている人が多いことや、Blog
などでの情報が多く、困ったときにいろいろな情報を入手できます。今だと、Java, VB,
C++, C# という順番でしょうか。
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開発環境が整っている
開発環境が簡単に構築、維持できることは、意外と大事なことで、プログラミングをするのに
OSの維持や、開発環境の維持に手間がかかってしまうと、余分なところで時間を食われてしまいます。環境的には、Microsoft、Mac、Linux
の順番で使いやすい・維持しやすいと思います。
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言語の習得のしやすさ
C, C++
は、ポインターという機能でつまづく人が多いので、お勧めしません。Java、C#、VBのどれかがいいでしょう。
これは、まったくの個人的意見ですが、勉強するなら C#
です。自分自身、昔はマイクロソフト系は独占的独善的で嫌いだったので、Linux を立ち上げ、Appcache
Server を入れ、Java でプログラミングを組んで、Web
ページを作ったりしていました。でも、Linux
のカーネルのパッチを当てたり、開発環境を整えたり、非常に多くの労力がかかり、土日で勉強するようなレベルではとても対応できませんでした。一方、マイクロソフトは、もちろんお金がかかりますが、さすがに売り物だけあって、環境やサポートの維持がだいぶ楽でしす。最近では、Visual
Studio Express
という無料の開発環境を提供しているので、無料で C#、VBの勉強を行うことができます。学生が学ぶ程度の内容であれば、このExpress
Edtion で十分でしょう。
Java と C#
は文法的に似ているので、プログラミングを勉強するのであれば、どちらでも大差ないと思います。Java/C# と
VB は論理構造は似ているのですが、言語の感じが違います。個人的には、VB
の文法はどうも好きになれません。
ということで、お勧めは C# です w。ある程度プログラミングの基礎的なことが分かったら、そこから Java
へ進むなり、VB へ進むなりしていけばよいと思います。
無料で開発環境を整えよう
Microsoft では、Visual Studio Express Edtion
という無料の開発環境を提供してくれています。こちらのリンクをクリックしてください。この
Visual Studio Express Edition
は、売り物のアプリケーションを作るには力不足ですが、プログラミングを勉強を始めるには、必要な機能に限定しているので、理解しやすく、理想的な環境です。
エディションとしては、次の4つがあります。
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Visual Basic 2008 Express
Edition
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Visual C# 2008 Express Edition
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Visual C++ 2008 Express Edtion
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Visual Web Developer 2008
Express Edition
これらの開発環境を動作させるには、Windows XP SP2以上, Windows Vista,
Windows 7が必要です。
また、推奨動作環境は、CPUは、1.6GHz
以上をとなっていますが、それよりメモリーのほうが重要で、1GB以上欲しいです。512MB
だと、Vista だとかなり苦しいです。
ここでは、C#言語を学びますので、Visual C# 2008 Express Edition
をインストールします。マイクロソフトのページの下のほうに、次のようなダウンロードの案内がありますので、緑のVisual
C# 2008 Express Editionの Web
インストール(ダウンロード)リンクをクリックします。
vcssetup.exe を実行または保存しますか?と聞いてきますから、実行ボタンを押します。
すると、セットアッププログラムが開始されます。
ライセンス条項は、よく読んで、同意するにチェックして次に進みます。
次にインストールオプションを聞いてきます。チェック可能なものは、Microsoft SQL Server
2008 Express Edition 1つだけです。SQL Server
とはデータベースのソフトです。すぐには使いませんが、将来的に使うので、チェックを入れて次に進みます。
インストールフォルダーを聞いてきますが、既定の場所にインストールを行います。
すると、自動的にインターネットから必要なコンポーネントをダウンロードし、インストールを始めます。
以上で、インストール完了です。
Visual C# 2008 Express Edition
さて、インストールが終ったところで、さっそく Visual C# 2008 Express
Edition を起動してみましょう。[スタートメニュー]→[すべてのプログラム]→[Microsoft
Visual C# 2008 Express Edition]
を選択すると、次のような、スタートページが起動すると思います。
これが開発環境です。いろいろなメニューやウィンドウがあり、わけがわからないと思います。いろいろ触りたくなると思いますが、まずは必要なところだけを触るようにしてください、段階的に触っていくうちに、全体がわかるようになってきます。
では、この開発ツールがどのぐらいのパワーがあるのか、実感してみましょう。
はじめてのビジュアルプログラミング
まず、次のように、左側にある
[最近使ったプロジェクト]をクリックします。
すると、次のような[新しいプロジェクト]ダイアログが開きます。このとき、[Windows
フォーム アプリケーション] が選択されていると思います。これは、エクスプローラのような、Windows
のアプリケーションを作成するためのひな型(テンプレート)です。この[Windows
フォーム アプリケーション] を選択した状態で、[OK]ボタンを押します。
すると、次のような画面になると思います
この状態で、下の図のように緑色の三角ボタンを押してみましょう。
次のような Form1
ウィンドウが現れると思います。このウィンドウは、エクスプローラーと同じアプリケーションです。ウィンドウのコーナーをマウスでドラッグすると、ウィンドウの大きさを変更することができます。また、右上の
ボタンを押すと、アイコン化されます。また、ボタンを押すと、フルスクリーン表示になります。また、ボタンを押すと終了します。しかし、メニューも無く、中央には何も表示されていない、まっさらのアプリケーションです。このようなアプリケーションを、Windows
フォーム アプリケーションと呼びます。
これはあくまでひな型なので、それ以外の機能は何もありません。しかし、エクスプローラや、インターネットエクスプローラは、この上にメニューやボタンや画面などの部品を配置して、これらがプログラムにより動いているのです。Visual
C# 2008 Express Edition
では、さまざまな部品がサポートされていて、簡単にアプリケーションが組めるようになっています。
では、この部品を見てみましょう。下の図のように、いちばん左に[ツールボックス]というサイドメニューがあります。この[ツールボックス]をクリックしてください。すると、次のようにツールボックスが開きます。このツールボックスの中には多くの部品があるのが見えると思います。この中で、[コモン コントロール]を開いてみてください。一番上に
[Button] があると思います。この [Button]
は、文字通り、ボタンという部品です。この部品のことを [コントロール] と呼んでいます。
では、この [Button]
をダブルクリックしてみてください。すると次のように [button1]
というボタンが追加されたと思います。
次回は、この部品を使って画像を表示するアプリケーションを作ってみましょう。
覚えておこう
Windows 上で動作する専用アプリケーションです。Mac や
Linux
上では動作しません。そのかわり、高速で、リッチな(表現豊かな)アプリケーションを組むことができます。